新字体と旧字体について
ルシェルが新字体(しんじたい)と旧字体(きゅうじたい)について説明するだワン。
その名前の通り、新しい字体と、旧(ふる)い字体のことを言っていて、すべての文字に旧字体と新字体がある訳ではないのだけれども、元々ある字形(旧字体)の簡略化(かんりゃくか)された字形のことを新字体というの。
現在日本では、「法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安」として、国によって定められた常用漢字(じょうようかんじ)というものがあるのだワン。
常用漢字は、現在2136字からなっているのだけど、この常用漢字(作成当時は当用漢字と呼ばれていた)を定めるときに、字形が簡略化され生まれたのがいわゆる新字体なのだワン。
例えば、「旧字体」という字を旧字体で書くと、「舊字體」になるの。
今となっては、もうなんて書いてるのかわからないよね?
新字体になって、字形が簡略化されることで、画数も減って、とてもシンプルで覚えやすくなってるんだけど、漢字学の観点から見るとちょっと問題があるの。
それは、簡略化される過程で、本来の文字の由来(生い立ち)が失われてしまっていることなの。
先ほどの『包』さんの話に合ったように、→包(巳→己)になって、元々の意味が失われているのよ。
でも、『包』さんが由来となっている、常用漢字にない漢字(例えば、「鮑(あわび)」とか「雹(ひょう)」と言った字は、旧字体のままで、「巳」→「己」に変わってないの。
この辺が漢字を覚えにくくしている原因でもあるのよね。
他にも旧字体の例をいくつか挙げてみるだワン。
旧字体:國 → 新字体:国 (或→玉)
旧字体:戀 → 新字体:恋 (→亦)
旧字体:臭 → 新字体:臭 (犬→大)
犬はとても嗅覚が鋭いものであるから犬の鼻を意味する「臭」は「におい、におう、においをかぐ」の意味となって、「におう、くさい」ってなったんだけど、点を省かれてしまったので、犬が由来ってことがわからなくなってるの。
実は犬からきてる文字が他にもあるのよ。
旧字体:器 → 新字体:器
旧字体:淚 → 新字体:涙
旧字体:類 → 新字体:類
このように、新字体では字形がシンプルになっている反面、本来の文字の由来が失われてしまっているものが多いのね。
漢字発祥の地である中国でも同様のことが起きていて、中国語には「簡体字」と「繁体字」というのがあるワン。
「繁体字」が日本でいう旧字体で、簡略化された文字を「簡体字」と言うの。
中華人民共和国では「簡体字」が、台湾では「繁体字」が主に使われているのだそうだワン!
漢字って本当に難しいだワン!!