桃舟の漢字ハウス第24回

お待たせしました。
本日のゲストは『夏【なつ】』さんでーす♪

ジャジャーン!
4人そろって四季レンジャー!

自分が『夏【なつ】』でごわす。

『夏』さんこんにちは。
早速ですが自己紹介をお願いできますか?

よかよ。
自分は『夏【なつ】』。生まれは西周時代の金文でごわす。
年齢はおよそ2800歳。
季節を表す四季の一つの「夏」
春と秋の間じゃ。
よろしゅう。

『春』ちゃんもそうだったのですが、『夏』さんも生まれた頃と今の姿ではだいぶイメージが違いますよね?

それ、よう言われる。
まずは金文と小篆を見たもんせ。

 

<金文>

 

<小篆>

 

どう見えるかのう?

なんか顔が大きいだワン!

ルシェル、ちょっと失礼じゃない!?
『夏』さん、申し訳ありません。

よかとじゃ。 (^^
ルシェルちゃんの言う通りでごわす。
正面に見えるのは顔で、元は神に捧(ささ)げる舞(まい)を表す字だったんじゃ。
生まれた頃の自分の姿は、舞楽(ぶがく)用の冠(かんむり)をつけて、両袖(りょうそで)を振(ふ)り、足を前にあげて踊る人の姿だったのでごわすよ。

ルシェルの目に狂いはなかっただワン!
じゃあ『夏』どんは、象形文字なんだワン?

そうでごわす。
最初は舞を踊る人の姿を表しとって、「大きい」とか「盛ん」とかいった意味だったんじゃが、それがいつの間にか季節を表す「夏」として、後の世の人が使い始めよってのー。

でも、どうして季節の「夏」を表すようになったんですか?

自分もよーわからんのだが、「夏」という字には「大地を覆(おお)う」といった意味も持っておって、夏は緑が茂り大地を覆うやろー、じゃから夏の季節を表すようになったと言われとるんじゃ。
他にも、夏に舞を捧げることが多かったんで、夏の意味として使われるようになったという説もあるでごわす。

へぇ~、そんな意味があったなんて知りませんでした。
『夏』さんって、スケールの大きい漢字さんなんですね。

確かに夏はいろんな人やものが大きく成長するイメージがあるだワン!

他にも、「夏」には中国を表す意味にも使うことがあるんじゃ。
商(殷)より前の時代の中国最古の王朝は「夏(か)王朝」と言われとって、中国を表す「中華」という文字も以前は「中夏」と言われていたでごわす。

『夏』どんって、すごい偉い漢字さんなんだワン!

そういわれると何だか照れるでごわす。
小篆より後の時代の時空間漢字を見てみやんせ。

 

<隷書>

 

<草書>

 

<行書>

 

<六朝楷書>

 

<楷書>

 

もうすっかり今の『夏』さんですね。

ところで、『夏』と言えば真っ先に何が思い浮かぶかの?

海ですね~。
若い頃は広い海で泳ぐのが大好きでした~。
今は、泳ぐより眺めている方が好きですが。 (*^^)v

 

 

他にも七夕、お盆、夏祭り、浴衣、花火、向日葵(ひまわり)、そして猛暑(もうしょ)、まだまだたくさんあります!

ルシェルは暑いのは嫌いだワン!!

ルシェルはモフモフの毛皮を着てるもんね。

ルシェルちゃんにとっては「夏」は辛い季節なんだね。
なんだか申し訳ないでごわす。

暑いのは嫌いだけど、夏は好きだワン!
夜はたくさんお散歩に行けるし、アイスクリームも美味しいだワン!

他にも夏の風物詩を思い出しました(^^♪
夏と言えば、蝉(せみ)と蛙(かえる)!!
暑い夏に聞こえてくる蝉や蛙の大合唱を聞いてると、夏だな~、みんな頑張ってるな~って思ってしまいます。

ルシェルは寝苦しい夜だと「おまえら黙れっ!」て思うだワン!

ルシェルっ!
なんて口きいてるの! 

つい本音が出ちゃっただワン。
・・・
蝉と言えば松尾芭蕉の『閑(しずか)さや 岩にしみ入る 蝉の声』という俳句も心に染みるだワン!

ルシェルちゃんは感性(かんせい)が豊かなんだね。

桃舟先生といるからかもしれないだワン。
{先ほど怒られちゃったので桃舟先生をおだてているつもり}
いっしょに散歩しているとき、桃舟先生は風を感じ、鳥の声に耳を傾け、風にそよぐ木々たちに話しかけ、お空の雲をぼーっと眺めながらスマホで一瞬を切り取ってるだワン。

 

 

最初は不思議だったけど、これが自然とともに生きていくってことなのかとルシェルも思っただワン!

ルシェルったら、そんな目で私を見ていたのね。
なんだか嬉しいような恥ずかしいような(〃▽〃)ポッ
ルシェルが自然とともに生きていくって言ってたけど、「自分」とはね、「自然」の「一部」であり「自然の分身」なのよ。
だから、自然を感じて、ともに生きていくことは、至極(しごく)当然のことで、とても心地のいいことなの。♪
そういえばルシェル、枕草子では夏のことを何て言ってると思う?

「夏は夜」なのだワン!

ルシェルちゃんさすがでごわす!

真夏の日中は暑くてルシェルは外に出れないから、早朝か夜に散歩に行くことが多いのだワン。
春はあけぼの(明け方)だったので、夏は夜にしたのだワン!

「夏は夜。月のころはさらなり、闇(やみ)もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光て行くも、をかし。雨など降るも、をかし」
意味は、「夏は夜に趣(おもむき)があるの。月が浮かぶ夜は当然風情(ふぜい)があるわ。
月明かりもなく闇に閉ざされた夜もいいわね。そして漆黒(しっこく)の闇に見えるのは飛び交う蛍の光。沢山飛び交っている光も幻想的だわ。
また一つ、二つだけの光も趣があるの。雨など降っている時も、また風情があるわ。」

ステキだワ~ン♪
みんなにも想像してほしいだワン!
月明かりのみに照らされた夏の夜の風景。
漆黒の闇夜(やみよ)に光る蛍。
静寂の中聞こえる雨音(あまおと)。
きっと自然を感じることができるだワン!

枕草子が書かれた平安時代には街のネオンや街灯もなく、暗闇を照らすのは月あかりのみ。

 

 

夜空の星空もさぞ眩(まぶ)しかったことでしょうね。
ルシェルが言ってるように、心象風景(しんしょうふうけい){心の中に思い描いた景色。体験や感情、感覚によって生み出される想像上の風景。}を作り出すことでも、自然を感じることができると思うんです。
想像力を鍛(きた)えることで、自然を感じて、自然の分身として自分を捉えることができれば、きっと人生が楽しくなると思います。

目を閉じて、耳を澄ませば、自然の、そして宇宙の声が聞こえてくるだワン!
そして自然と共に生きていくのだワン!

みんなに「自然」を、そしてもうすぐやってくる「夏」を感じてもらえたら嬉しいでごわす。

『夏』さん、四季レンジャーのみなさん、今日はありがとうございました。
次回は『』さんにお話を伺いたいと思います。

次回もまた来るんで、よろしゅう頼むでごわす。

『夏』さんのプロフィールは、こちらにまとめてあるので、見てほしいだワン!

皆様にとって素敵な『夏』になりますように(^^♪
そして、今日も読んで頂きありがとうございました。
では、ごきげんよう。

 

桃舟の漢字ハウス第25回は こちら になります。