桃舟の漢字ハウス第21回

お待たせしました。
本日のゲストは今度こそ『初【はつ】』さんです~。

前回は失礼したでござる。
拙者は「衣」と「刀」から出来た漢字であるとみなさんに知って欲しかったのでござるよ。

そうだったのですね。
なにか特別なこだわりがあるのでしょうか?

実は拙者には悩みがありまして、桃舟さんはこちらの2つの漢字を見て違いがわかるでござるか?
 

ほとんど同じですが、一つ目が衣偏(ころもへん)、二つ目が示偏(しめすへん)ですよね?

そうでござる。
拙者の悩みというのは、よく字を間違って書かれることなんでござるよ。
こんな漢字はないでござるよ~!(涙)

 

 

あ、確かにそうですね。
うちの教室でも生徒さんが初段になった時、何人かに一人は『初』が示偏になってることがあります。
その時は「点が一つないと、誤字になるので昇段しないよ~」って伝えてます。

みなさんにとってはただの点ですが、私たち漢字にとっては、文字の成り立ちにはそれぞれ理由があって、点一つの違いでも大きな意味があるのでござるよ。
桃舟さんには、正しい漢字を世間に広めて欲しいでござる。

了解したでござる!

拙者も『示(しめす)』さんに申し訳ないでござるよ。

あの~、質問してもいいですか?
『示(しめす)』さんはお友達ですか?

もちろん友達でござるよ。

『示(しめす)』さんのことを知りたいです。
でないと、なんだかスッキリとしません。

では簡単に紹介させてもらうでござるよ。
『示(しめす)』さんは、神様をまつるための机(つくえ)の形からできた字なんでござるよ。

 

 

そう言えば神様の神は示偏ですよね。

神様はどこにまつられていると思うでござるか?

神社ですね。
そういえば両方とも示偏ですね!

 

 

 

左様(さよう)でござるよ。
神様を表す漢字は示偏でござる。
衣服を表す漢字は衣偏でござる。
そこを覚えておくと、漢字を書くときに便利でござるよ。

確かに、そうですね。
スッキリしました。

 

ところで、自己紹介をお願いできますか?

拙者は生まれは甲骨文字で、実年齢は大体3300歳くらいになるでござる。

『衣』さんと『刀』さんと同い年なんですね。

もちろん彼らが少し先に生まれたでござるよ。
それでは、拙者の生い立ちからの時空間漢字をご覧くだされ。

 

<甲骨文字>

 

<金文>

 

 

<小篆>

 

<隷書>

 

<草書>

 

<行書>

 

<六朝楷書>

 

<楷書>

 

時空間漢字を見て、『衣』さんと『刀』さんの合体漢字であることはわかります。
でもどうして、『初』さんという漢字が生まれてきたのですか?

では拙者の生い立ちを説明するでござるよ。
『初』という漢字は、特別な衣を作るとき、最初に、刀(刃物・ハサミ)で布を裁(た)ち切ってから衣を作るという儀礼から来ているのでござるよ。
そこから「はじめ、はじめて」の意味になったのでござる。

なるほど~。
でも特別な衣ってなんですか?

何だと思うでござるか?

・・・
生まれたばかりの赤ちゃんの衣でしょうか?

正解でござる。
赤ちゃんの産着(うぶぎ)として着せる着物を作ることから来てるでござるよ。

そうだったんですね。
ほんと初々(ういうい)しいですね。

そうでござるな。
本日は拙者の話を聞いてくれてありがとうでござる。
拙者はまた流浪の旅に出るでござる。
さらばでござる。

本日はどうもありがとうございました。

『初』さんのプロフィールは、こちらにまとめてあるだワン!

あっ、『初』さーん...
次回のゲストを聞くの忘れちゃいました。 (^^;
では、みなさんごきげんよう!

桃舟の漢字ハウス第22回は こちら になります。