桃舟の漢字ハウス第20回

あれれ?
本日のゲストは『初【はつ】』さんお一人と伺っていたのですが...

はじめまして。
わたくし『衣【ころも】』と申します。

拙者(せっしゃ)は『刀【かたな】』と申すでござる。
『初【はつ】』さんは後ほど参るでござるよ(^_-)-☆

そうだったんですね!安心しました。
では早速ですが、『衣』さん、自己紹介をお願いします。

わたくし『衣【ころも】』は生まれは商(殷)時代の甲骨文字になります。
年齢に致しますと約3,300歳になりますのよ。

拙者も同じでござるよ。

あっ、『刀』さんもありがとうございます。(^_^;
お二方とも甲骨文字になるのですね。

(^_^)/

『衣』さん、どうしてこのようなお姿でお生まれになったのですか?

では私の甲骨文字と金文をご覧ください。

 

<甲骨文字>

 

<金文>

 

ころも(衣)なので、着る物を表してますよね?

そうです。
どこの場所を表しているか分かりますか?
では、小篆をご覧ください。

 

<小篆>

 

そんなに形は変わってないですよね? ^_^;
難しいですね...
ひょっとして、胸元あたりでしょうか?

正解でございます。
着物の襟(えり)もとを合わせたものが「衣」の形になりますのよ。

言われて見ればそのように見えてきました!!

それでは、隷書からもご覧くださいね。

 

<隷書>

 

<行書>

 

<楷書>

 

うわぁ~もうすっかり現代の「衣」ですね。

『衣』さんは仮名にもなってるだワン!

 

<草仮名>

 

<平仮名>

 

エヘッ (^^♪
ところで私から生まれてきた漢字さんが結構いるんですのよ。
今回はその中のお一方を紹介させてもらってもよろしいかしら?

はい、もちろんです!
ワクワク (*^_^*)

入って来ていいですわよ~!

こんにちは~、はじめまして。
僕の生まれは西周(せいしゅう)時代〔紀元前(きげんぜん)1,100年頃~紀元前771年〕の青銅器(せいどうき)に鋳込(いこ)まれている金文(きんぶん)になります。
年齢は約2,800歳で、『衣』さんから生まれてきました~。

はじめまして。
よろしくお願いします。

早速ですが僕の金文と小篆をご覧いただけますか?

 

<金文>

 

<小篆>

 

あれ? 『衣』さんの襟もとに斜めの一本の線が入ってますね。

そうなんです。それについては、後程説明させていただきますす。
では、隷書からもご覧ください。

 

<隷書>

 

<行書>

 

<楷書>

 

わかりました!
『卒【そつ】』さんですね。

大正解!!

でもどうして、『衣』さんから『卒』さんがお生まれに?

知りたいですか?

知りたいです。
ぜひ教えてください。 (^_^)

『衣』とは襟もとを合わせた着る物のことでしたよね。
古代中国の人達は、「衣」はただ単に着るものとしてではなく、「いろんな物から人を守るもの」と考えていました。

今の時代の人達にとってはちょっと難しいかもしれないですわね。
最初、わたくし『衣』は「命を包んで守るもの」と考えられていたのですのよ。
生まれたばかりの赤ちゃんに着せる衣は、お守りのようなものだったのです。

そういった意味が込められていたんですね。
でも、どうしてそこから「卒」の漢字が生まれたのでしょうか?
斜めの一本の線は、何を表しているのですか?

まずは、斜めの一本の線についてお話ししましょう。
この線は、下の絵のように、衣の襟を重ねて、紐でしっかりと結んだ形を表しています。

これは魂が迷い出ないように衣の襟をしっかりと閉じ、邪悪な霊が入り込むことを防ぐためとも言われているんです。

ひょっとして、亡くなられた人に着せる衣から「卒」という字が生まれたのでしょうか?

するどいですね!
ご存じのように、この世は移り行く世界ですよね。
生まれて来る命もあれば、この世を去って逝く命もあるわけで、つまりこの世を卒業するということになります。

だから、「おわる、おえる、つきる」の意味があるのですね。

特に、3月は日本では卒業式がたくさんの学校で行われますよね。
卒業とは「規定の学業過程を学び終えること。また、事業を完了すること」の意味となるんです。

私には「卒業」のイメージが大きかったです。

昔の人達の深~い思いを感じるだワン。

では、続いて『刀』さん、お願いします。

ついに拙者の番でござるな。

はい、『刀』さんはお侍(さむらい)さんですか?

拙者はただの流浪人でござる。

るろうに!?
まさか、けんしん...?

拙者の素性はさておき、まずは拙者が生まれたころの姿をご覧くだされ。
何に見えるでござるか?

 

<甲骨文字>

 

こちらは、まさに刀の形に見えるでござるよ。

桃舟先生、喋(しゃべ)り方が移ってるだワン!

(〃▽〃)ポッ

正解でござるよ。
金文の姿はないので、小篆からお見せするでござる。

 

<小篆>

 

<隷書>

 

<行書>

 

<楷書>

 

そのままだったのですね。
ところで、『初【はつ】』さんはまだお見えにならないのですか?

今日はもう来ないのかな?

桃舟殿、ルシェル殿、もうすでに来てるでござるよ。(*^^)v

えっ? 
私には見えないのですが?

見えている物がすべてとは限らんでござるよ。

我々二人をよくご覧くだされ!

『衣』さんと『刀』さんが合体して『初』さんなんですね!
ようやくわかりました!

ここからは、わたくし『初』としてお話させていただきます。

桃舟先生、『初』さんに登場して頂いたところですが、時間が来てしまっただワン!

楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいますね。
すみません、『初』さん来週も来て頂けるでござるか?

もちろん、来ます・・・、いや来るでござるよ!

それは楽しみでござる。

本日お見えになったお三方のプロフィールは、こちら( 『衣』さん 『刀』さん 『卒』さん )にまとめてあるから見て欲しいだワン!
では、みなさん、また次回だワン!

桃舟の漢字ハウス第21回は こちら になります。