桃舟の漢字ハウス第15回

本日のゲストは『天【てん】』さんです。👏

はじめまして。『天【てん】』と申します。
前回の『大【だい】』さんの時にゲストとして呼ばれていたのですが、漢字の神様から今回まで待つように言われまして....
ちゃんとご連絡できず申し訳ありませんでした。

そうだったのですね。
漢字の神様から「天皇陛下の御即位を祝賀して、漢字の世界からスペシャルゲストを送り出したい」と伺った時に、ひょっとして『天【てん】』さんかしらって思ってたんですよ。
漢字の神様の粋なはからいですね (*^-^*)

私もスペシャルゲストだなんて、とても光栄です。

早速ですが、自己紹介をお願いします。

わたくし『天【てん】』は生まれは商(殷)時代の甲骨文字になります。
年齢に致しますと約3,300歳になります。
『人』さんと『大』さんよりも少し後に生まれました。
まずは私の甲骨文字をご覧ください。

 

<甲骨文字>

 

なんか『大』さんの上に四角いものが載ってますね?

金文、小篆だとこのようになります。

 

<金文>

 

<小篆>

 

今度は『大』さんの上に丸いものと、横線が載ってますね (^^♪

隷書、行書、楷書もご覧ください。

 

<隷書>

 

<行書>

 

<六朝楷書>

 

<楷書>

 

隷書になると、もう現代の『天』さんに近いですね!!

私の姿は『大』さんの上に大きな人の頭をつけた形を表しているんです。
頭は人の一番上の高いところにあるので、天空の意味となったのです。

『人』さんから『大』さんが、『大』から『天』さんが生まれたのですね!
『人』さんって、ほんとうに偉大なんですね!!

まだまだ『人』さんから生まれた漢字さんはたくさんいますよ。(^_^)
草書も見てください。
なんだか天に昇っていきそうじゃないですか?

 

<草書>

 

あっ、確かにそうですね。
いろいろ想像を膨らませながら字を書くと素敵な作品になりそうな気がします!!

平仮名、片仮名にもなっちゃいました。(*^^)v

 

<平仮名>

 

<片仮名>

 

へぇ、やはり『天』さんはすごいですね! (*^_^*)

「天」についてもう少お話したいと思います。
古代中国の商(殷)の人達は、「天」とは神がいる神聖なところという考えを持っていました。
ですので、商の都を「天邑商(てんゆうしょう)」つまり商の神聖な都と称しておりました。

素敵な名前の都ですね。
そこからたくさんの漢字達が生み出されたと思うとワクワクしちゃいます。

ところで桃舟さん、天を使った言葉っていくつ言えますか?

天皇、天下、天子、天使、天然、天性、天変、天気、雨天、天才、先天、後天、天寿、天意、天界、天の川、天下泰平、天長地久、お天道様・・・。
本当にたくさんありますね...

そうなんです。他にもまだまだたくさんありますよ。
桃舟さんは「天命(てんめい)」という言葉はご存知ですか?

確か、天から人間に与えられた命令のようなものですよね?
変えようにも変えられない運命のような。

そうです。
実は「天命」は周王朝で生まれた言葉なんです。

商(殷)王朝ではないのですね。

周時代には、周が商(殷)王朝を滅ぼして、周王朝が生まれたことを天命(天の命)としてとらえ、すべてのことが天命によって決まると考える「天命思想」を元に国を統治するようになります。
周王朝以降、中国では天命を受けて国を統治するという考えが一般的になり、天命を受けて国を治める者のことを「天子(てんし)」と言うようになりました。
また、すべてのことが天命によって決まるといった考えから、『天』という文字には、人の力の及ばぬものすべてを意味するようになり、自然や生まれつきといった意味にも使われるようになったのです。

だから『天』を使った言葉がとてもたくさんあるのですね。
とても勉強になります~。

そうなんです、とても幅広い意味があるのですよ。

殷(商)と周との戦いについては、第13回の「身さんからの手紙」にも書いてあるので、忘れちゃった方はもう一度読むだワン!

「五十にして天命を知る」という孔子(こうし、紀元前552年~紀元前479年 春秋時代末期の思想家・教育者・政治家)の有名な言葉がありますよね。
論語(孔子と弟子の問答を書物にしたもの)の中の一説で読んだことがあります。

そうですね、儒教(じゅきょう)の始祖(しそ)である孔子は周王朝をとても重んじていたので、「天命思想」は儒教でも重要な考え方となっています。

他に天命の入った言葉としては、「人事(じんじ)を尽(つ)くして天命を待つ」もありますね。

「人事を尽くして天命を待つ」は南宋初期の中国の儒学者、胡寅(こいん、1098年~1156年)の言葉になります。
「できるかぎりのことをやったら、あとは天に任せて待ちましょう」といった意味ですね。

これもいい言葉ですよね。
私も隷書で「天命」と書いてみました。

 

ピンポ~ン♪♪

 

誰かしら?
ルシェル見てきてくれる?

見てくるだワン!!

・・・

桃舟先生、なんだか光輝いてる漢字さんが来られてます!

 

次回へとつづく・・・

 

『天』さんのプロフィールは、こちらにまとめてあるだワン!
では、みなさん、まただワン!

桃舟の漢字ハウス第16回は こちら になります。